マセラティ・ギブリ

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ギブリGhibli )は、イタリアの自動車会社・マセラティが販売している高級車である。

車名の「ギブリ」は「リビアの高地から地中海地方に吹き込む埃を含んだ熱風」に由来する[1]

初代(1966年 - 1973年)[編集]

マセラティ・ギブリ(初代)
ギブリ・スパイダー
概要
販売期間 1966年 - 1973年
デザイン カロッツェリア・ギア
ボディ
乗車定員 2名
ボディタイプ 2ドア クーペ/オープン
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン 前期型(1966年-1970年)
4.7L V8 330PS
後期型(1970年-1973年)
4.9L V8 335PS
変速機 5速MT
3速AT
車両寸法
ホイールベース 2,550 mm
全長 4,590 mm
全幅 1,798 mm
全高 1,158 mm
車両重量 1,530 kg
系譜
先代 マセラティ・5000GT
後継 マセラティ・カムシン
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1966年に発表、デザインはカロッツェリア・ギア時代のジョルジェット・ジウジアーロによる。鋼管フレームにスチールボディを被せたスタイリングは、当時の高級スポーツカーに共通して見られる地を這うような背の低いプロポーションをとり、マセラティとしては初のリトラクタブル・ヘッドライトを採用する。

当時のライバル車、フェラーリ・デイトナランボルギーニ・ミウラと比して直線的、平面的に見えるが、エッジと曲面とが使い分けられている。当時のジウジアーロデザインのくさび志向がよく現れており、ジウジアーロの代表作でもある。

乗車定員は2名であり、インテリアにはレザーが多用されていた。トランスミッションは5速MT、オプションで3速ATが選べた。出力330 PSの4.7 L V型8気筒エンジンを前方に積むFRレイアウトで、0 - 60 mph加速は6.8秒、最高速度は265 km/hであった。当時は世界最速の座と人気をフェラーリ・デイトナやランボルギーニ・ミウラP400と争った、マセラティのヒット作である。

1969年オープンモデルの「ギブリ・スパイダー」を発表、1970年には排気量を4.9 Lに拡大、最高出力335 PS/5,500 rpm、最大トルク49.0 kgf・m/4,000 rpmにパワーアップされた「ギブリSS」、「ギブリ・スパイダーSS」を発表。1973年に生産中止されるまで、総計1,274台が生産された。翌年に発表されたカムシンが後継モデルとなった。

2代目(1992年 - 1997年)[編集]

マセラティ・ギブリ(2代目)
概要
販売期間 1992年 - 1997年
ボディ
乗車定員 4名
ボディタイプ 2ドア クーペ
駆動方式 FR
パワートレイン
エンジン 2.0L V6 ツインターボ
2.8L V6 ツインターボ
変速機 ゲトラグ製6速MT
5速MT
4速AT
サスペンション
マクファーソンストラット
セミトレーリングアーム
車両寸法
ホイールベース 2,520 mm
全長 4,223 mm
全幅 1,775 mm
全高 1,310 mm
車両重量 1,365 kg
系譜
先代 マセラティ・ビトゥルボ
後継 マセラティ・3200GT
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1992年に『ギブリII』として名称を復活。型式はE-MG。イタリア本国仕様に2.0L V型6気筒、輸出仕様に2.8L V型6気筒エンジン、トランスミッションは6速MT(初期の2.8L搭載モデルは5速MT仕様)、4速ATが用意された。初代と同じ高級クーペではあるが、2ドア4シーター、ノッチバックスタイルを採る。最高速度は260km/h、0-60mph加速は5.7秒。ボディデザインは同時期に発表された上位車マセラティ・シャマルと類似していた。

1994年にインテリア、ホイールが刷新され、電子制御サスペンションABSが加えられ、1996年にはさらに17インチアロイホイール、サスペンションとトランスミッションに改良が加えられたギブリGTが発表された。1997年には、ワンメイクレース用にエンジン、足回りにチューニングが施され、内装のウッドパネルをすべてカーボンパネルに置き換えられたギブリカップが発売された(本車両は、Xbox One用のソフト、Forza Motorsport 6に収録されている)。最高速度は270km/h。

1997年まで生産され、翌年に発表された3200GTが後継モデルとなった。

3代目(2013年 - )[編集]

マセラティ・ギブリ
概要
製造国 イタリアの旗 イタリア グルリアスコ(トリノ)
販売期間 2013年 -
ボディ
ボディタイプ 4ドアハードトップセダン
駆動方式 FR
4WD
パワートレイン
エンジン 3.0L V6 ツインターボ
3.0L V6 ディーゼルターボ
2.0L 直列4気筒 ターボ+マイルドハイブリッド
3.8L V8 ツインターボ
変速機 8速AT
車両寸法
ホイールベース 3,000 mm
全長 4,985 mm
全幅 1,945 mm
全高 1,485 mm
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2013年、上海モーターショーにて発表されたEセグメントセダンの名称として、ギブリの名跡が復活した。全世界での量販戦略を担うスポーツセダンとしての位置づけとなる。搭載エンジンはチューニング違いの3.0L V6ガソリンツインターボと、3.0L V6ディーゼルターボの3種類。ディーゼルエンジンの搭載はマセラティ史上初である。また、AWDもラインナップされる。

日本では2013年11月に販売開始。2WD(FR)の「ギブリS(967万円)」と4WDの「ギブリS Q4(1,039万円)」の2種類がラインアップされた。これまで日本のマセラティ車の価格は最低1,000万円超だったことから、1,000万円を切る戦略価格は大きな話題となった。

世界的に見ても少なくなった4ドアハードトップのボディスタイルが特徴的である。

2021年、マイナーチェンジが行われた。ディーゼル車が廃止され、「マセラティ初のマイルドハイブリッド」「3.8リットルV8ツインターボエンジン」の両モデルが追加された。

脚注[編集]

  1. ^ Ghibli | wind” (英語). Encyclopedia Britannica. 2020年6月22日閲覧。

関連項目[編集]