q二項定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

数学において、q二項定理: q-binomial theorem)は二項定理q-類似である[1]超幾何級数 の和は通常の二項定理

で与えられる。これに倣い、q超幾何級数の和を与える公式

をq二項定理と呼ぶ。ただし、ポッホハマー記号qポッホハマー記号である。

証明[編集]

右辺をとして関数方程式を導く。

これにより、左辺を得る。

別証明[編集]

左辺をとして関数方程式を導く。

テイラー級数に展開しての係数を比較すると

となり、であるから

となる。これにより、右辺を得る。

コーシーの二項定理[編集]

コーシーの二項定理はq二項定理の特殊な場合である[2]

ただし、

はq二項係数である。q二項定理にを代入すると

となるが、左辺はとなり、右辺はの分子がの分母を打ち消す。従って、

である。左辺はqポッホハマー記号の変換式により、

となる。

出典[編集]

  1. ^ Wolfram Mathworld: q-Binomial Theorem
  2. ^ Wolfram Mathworld: Cauchy Binomial Theorem