アフリカ 苦悩する大陸

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アフリカ 苦悩する大陸
The Shackled Continent: Africa's Past, Present and Future
著者 ロバート・ゲスト英語版
訳者 伊藤真
発行日
発行元
ジャンル ノンフィクション
イギリスの旗 イギリス
言語 英語
形態 上製本
ページ数 280
コード ISBN 9781405033886
ISBN 9784492211779(日本語版)
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アフリカ 苦悩する大陸』(アフリカ くのうするたいりく)はロバート・ゲスト英語版の著作。

原題は "The Shackled Continent: Africa's Past, Present and Future"。

2004年にMacmillan社から出版された。日本語訳は、2008年に伊藤真訳で東洋経済新報社から出版された[1]

ゲストは「エコノミスト」の編集委員。1998年から7年間、アフリカ特派員として取材をした。

特徴[編集]

  • 21世紀初頭のアフリカの主な問題点をあげている。(スーダン内戦については資料不足だったのか、ふれられていない。)
  • 日本語版へのまえがきで、「アフリカが貧しいのは、政府に問題があるからだ。」と、政治の役割を指摘。また「ひとつの手は、市民が投票によってリーダーの首をすげ替え、よりよい政府を選出することだ。そんなことはかつてのアフリカではありえなかった。」と、1990年代以後、それが可能になってきたことを指摘する。
  • 著者自身が見聞した体験の記述であり、指摘は具体的で、読みやすい。

記述された国々[編集]

括弧内の数字は主に記述された章。

ジンバブエ(1)、コンゴアンゴラ(2)、マラウィ(3)、ウガンダセネガル(4)、ルワンダナイジェリア(5)、ザンビアボツワナ(6)、カメルーン(7)、南アフリカ(9)、タンザニア(結論)。

他に、モザンビークエチオピアソマリアブルキナファソリベリアケニアなどにも簡単に触れている。

各章の概要[編集]

1 吸血国家 - エリートによる、エリートのための独裁主義
ジンバブエは、ムガベ大統領の放漫財政のために、2003年には1年で5倍、2007年には1年で200倍のハイパーインフレ。
2 ダイヤを掘る、墓穴を掘る
資源があるのはよいことか。コンゴはダイヤモンドなどの資源のために、内乱が続く。
3 「眠れる資産」が繁栄へ道を拓く
アフリカでは人が慣習上使用している土地に正式な所有権がない。だから資産がなく、資本主義が育たない。
4 セックスは死と隣り合わせ
売春によりエイズが蔓延する。しかしウガンダでは青少年への教育で抑制に成功した。
5 宿怨の三つの温床 - 部族主義、派閥主義、人種主義
部族主義によって1994年のルワンダ虐殺が起こった。 一方南アフリカアパルトヘイトを克服した。
6 どうする?援助と自由貿易
アフリカにはマーシャルプランの6倍の援助資金が注ぎこまれた。援助よりも貿易をすべきだ。
7 でこぼこ道と盗人警官
アフリカの企業家は劣悪なインフラという問題に直面する。
8 ハイテク技術は「貧困」を救えるか?
インターネットによって知識が普及し、固定電話が普及するより前に携帯電話が普及した。
9 南アフリカは「希望の星」になれるか?
南アフリカは1994年の政権交代以後、政治、財政は比較的安定。黒人事業者層の成立に期待する。
結論 一歩ずつ確実に - 「豊かな」未来へ向けて
安くて有効な対策からすべき。下痢の子供には経口補水塩を。マラリア対策にはまず蚊帳(かや)を。

脚注[編集]

  1. ^ ロバート・ゲスト『アフリカ苦悩する大陸』東洋経済新報社、2008年5月。ISBN 978-4-492-21177-9https://books.google.co.jp/books/about/%E3%82%A2%E3%83%95%E3%83%AA%E3%82%AB%E8%8B%A6%E6%82%A9%E3%81%99%E3%82%8B%E5%A4%A7%E9%99%B8.html?id=8RMgNwAACAAJ&source=kp_book_description&redir_esc=y 

外部リンク[編集]