アポロニウスの円

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アポロニウスの円。AP:BPが一定になるようにPを動かすと軌跡は円を描く。

アポロニウスの円(アポロニウスのえん)は、2定点A・Bをとり、点PをAP:BPが一定となるように(但しAP≠BP)したときの点Pの軌跡である。ペルガのアポロニウスの名前を残すが、起源はより古いと思われる。例えば、既にアリストテレス気象論』第三巻で虹の形状を論じるのに用いられている。

証明[編集]

初等幾何による証明[編集]

点PをAP:BPが一定となるようにしたときの点Pの軌跡のうち、線分ABの上の点をQ、ABの延長線上の点をRとすると、

AQ:QB=AP:PB
AR:RB=AP:PB

内角と外角の二等分線の関係の逆より、PQとPRはそれぞれ∠APBの内角と外角の二等分線である。 よって、∠QPR=90° ゆえに、点Pの軌跡は線分QRを直径とする円である。

ベクトルによる証明(1)[編集]

m, n を互いに異なる正の実数とする。線分ABを mn に内分する点を Q、外分する点をRとすると、

このとき、

したがって、点Pの軌跡は線分QRを直径とする円になる。

ベクトルによる証明(2)[編集]

線分QRの中点をOとすると、

したがって、

これより、点Pの軌跡は線分QRの中点Oを中心とする半径 の円、すなわち線分QRを直径とする円になる。

アポロニウスの円の中心[編集]

線分QRの中点をOとすると、点Oはアポロニウスの円の中心となり、

すなわち、点Oは線分ABを に外分する点になる。

アポロニウスの円の半径[編集]

アポロニウスの円の半径を r とする。ここで平方完成

定義より、

したがって、

アポロニウスの問題に対する解[編集]

アポロニウスの問題に対する解はアポロニウスの円とも呼ばれる。

外部リンク[編集]