タマカイ
タマカイ | ||||||||||||||||||||||||
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タマカイ Epinephelus lanceolatus
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保全状況評価[1] | ||||||||||||||||||||||||
DATA DEFICIENT (IUCN Red List Ver.3.1 (2001)) | ||||||||||||||||||||||||
分類 | ||||||||||||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||||||||||||
Epinephelus lanceolatus (Bloch, 1790)[1][2][3] | ||||||||||||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||||||||||||
タマカイ[3] | ||||||||||||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||||||||||||
Brindle bass[1] Brindled grouper[1] Giant grouper[1][2] Queensland groper[1] |
タマカイ(Epinephelus lanceolatus[4])は、スズキ目ハタ科に分類される魚類。
分布[編集]
日本では和歌山県、伊豆諸島、小笠原諸島、沖縄島以南の琉球列島で確認例がある[5]。
形態[編集]
一般的な全長は190センチメートル[2]。最大全長270センチメートル[2]。最大体重400キログラム[2]。3mの記録があるともいわれる[6][7]。サンゴ礁に生息する硬骨魚類としては最大種[1][3]。背鰭棘条数11、背鰭軟条数14 - 16[2][3]。
大きい口と丸い尾をもつ。幼魚は不規則な黒と黄色の斑点をもち、成魚は緑灰色から緑褐色で、薄いまだら模様がある。鰭には多数の小さな黒い斑点がある。成魚になるにつれて種特有の斑紋が消え、種を特定することが困難になる[8]。
生態[編集]
サンゴ礁域の外側斜面で、崖状または洞窟状になった所、岩場で観察される[9][10]。
魚類、エビ類などの甲殻類などを食べる[1]。
単独で暮らし、縄張り意識が強い為、同じ仲間の魚が縄張りに入ると威嚇して追い払う。
人間との関係[編集]
沖縄県での方言名としてアーラーミーバイがある[3]。アーラミーバイは大型ハタ類の総称である[10][11]。
食用とされることもある[1]。内臓や皮が、漢方薬になると信じられていることもある[1]。食用魚で鍋や刺身がおいしく[12]、沖縄では高級料理にも用いられる[13]。
オーストラリア・クイーンズランド州の海を象徴する魚である。食用にする沖縄県では、他の食用魚ヤイトハタとともに、タマカイの種苗生産技術を研究する[10]。沖縄県は2011年には日本国内で初めて人工授精に成功している[11]。
超高級魚として知られるクエとかけ合わせた雑種として「クエタマ」が2011年に近畿大学水産研究所白浜実験場で作出されており、クエと同等の食味を持つ代用魚としての普及を目指し、養殖されている[14]。
人を襲ったという正確な記録は存在しないが、オセアニアの一部の地域では、「タマカイはダイバーを丸飲みにしてしまう」として恐れられている。また、NHKでも「人を襲い、頭を丸のみした怪物」と放送している[15]。
日本へ輸入もされている[8]。東京の築地市場にまれに入荷する[8]。一方、台湾では養殖され、市場に出たり輸出がなされる。台湾では「ハタの王」、「魚のボス」と称されている[16]。
分布が非常に広大だが漁獲圧の高い地域では絶滅しており、分布域全体でもまれな種とされる[1]。生息数の推移に関するデータが不足していることから、2018年の時点で本種の生息状況に関しては不明とされている[1]。食用や薬用の乱獲・飼育施設などでの展示目的での採集などによる影響が懸念されている[1]。日本でも元々まれな種とされていたが近年は成魚の確実な確認・捕獲例がほぼなく、さらに減少することが懸念されている[5]。2017年の時点で、沖縄県レッドリストでは絶滅危惧IA類と判定されている[3]。
現代に繁栄している魚類の中では最もシーラカンスに似た形態や習性を持つとされている[17]。そのため、水族館のアクアマリンふくしまでは、シーラカンスロボットとともに、タマカイを展示している[17]。
ギャラリー[編集]
出典[編集]
- ^ a b c d e f g h i j k l m n Fennessy, S., Pollard, D.A. & Samoilys, M. 2018. Epinephelus lanceolatus. The IUCN Red List of Threatened Species 2018: e.T7858A100465809. doi:10.2305/IUCN.UK.2018-2.RLTS.T7858A100465809.en. Downloaded on 03 January 2021.
- ^ a b c d e f Froese, R. and D. Pauly. Editors. 2019. Epinephelus lanceolatus. FishBase. World Wide Web electronic publication. http://www.fishbase.org, version (12/2019).
- ^ a b c d e f 立原一憲 「タマカイ」『改訂・沖縄県の絶滅のおそれのある野生生物(レッドデータおきなわ)第3版-動物編-』、沖縄県文化環境部自然保護課編、2017年、241頁。
- ^ 中村潤平, 本村浩之「ハタ科Serranidaeとされていた日本産各種の帰属,および高次分類群に適用する標準和名の検討」『IchthyNatural History of Fishes of Japan』第19巻、鹿児島大学総合研究博物館、2022年、26-43頁、doi:10.34583/ichthy.19.0_26、2022年11月24日閲覧。
- ^ a b c 環境省版海洋生物レッドリストの公表について 環境省レッドリスト2017 (環境省・2021年1月3日に利用)
- ^ “タマカイ”. 美ら海生き物図鑑. 沖縄美ら海水族館. 2018年5月26日閲覧。
- ^ “館内探検マップ-特別展示 タマカイ”. 海洋文化館 Official Site. 2013年1月6日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月5日閲覧。
- ^ a b c おさかな情報 No.25 2004年1月 2003年度 第4回展示テーマ ハタ類 水槽設備シムラ 2013-4-5閲覧[リンク切れ]
- ^ 生物対象群に関するテキスト情報 環境省 2013-4-5閲覧
- ^ a b c 竹本淳史 (2012-04-01). “サンゴ礁の巨大魚 タマカイ”. 広報誌「南ぬ風」 (沖縄美ら島財団): 15 2018年5月27日閲覧。.
- ^ a b “タマカイ人工授精成功 県水産センター石垣”. 琉球新報. 琉球新報社 (2011年5月18日). 2013年5月1日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月4日閲覧。
- ^ “全長230センチ!巨大魚“タマカイ””. さんさんテレビ. 高知さんさんテレビ (2007年11月26日). 2013年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月4日閲覧。
- ^ タイムス料理講習会|講習会レポート|2009年11月1日(第16回) カヌチャベイホテル&ヴィラズ(6品) 株式会社沖縄タイムスサービスセンター 2013-4-4閲覧
- ^ “「非常においしい」と評判だけど見慣れない魚…「クエタマ」に胸張る研究者”. 読売新聞オンライン (2021年2月26日). 2023年3月13日閲覧。
- ^ NHK広報局 (2008年2月20日). “ハイビジョン特集 シリーズ 日本人カメラマン 野生に挑む”. 日本放送協会. 2013年4月4日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月4日閲覧。
- ^ ハタ王国の栄光と危機 世界に誇るハタ王国2011年3月072ページ 文・李珊圖・薛継光 『台湾光華』雑誌(Taiwan Panorama) 台湾政府・新聞局 2013-4-5閲覧
- ^ a b “シーラカンス展示新しく アクアマリンふくしま”. 福島民報. 福島民報社 (2013年3月16日). 2013年3月26日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年4月4日閲覧。