ダフネ・カルーアナ・ガリジア

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ダフネ・カルーアナ・ガリジア
Daphne Caruana Galizia
生誕 1964年8月26日
死没 (2017-10-16) 2017年10月16日(53歳没)
死因 車爆弾
国籍 マルタの旗 マルタ
出身校 マルタ大学
職業 ジャーナリスト
配偶者 夫あり[1]
子供 3人[1]
公式サイト http://daphnecaruanagalizia.com/
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ダフネ・カルーアナ・ガリジア英語: Daphne Caruana Galizia1964年8月26日 - 2017年10月16日)は、マルタ調査報道ジャーナリスト[1][2]ダフネ・カルアナ・ガリツィア[2]ダフネ・カルアナガリチア[3][4]ダフネ・カルアナ・ガリチア[5]などの日本語表記もある。

人物[編集]

パナマ文書流出によって発覚した、マルタの首相ジョゼフ・ムスカットの妻(ファーストレディ)ミシェル・ムスカット(Michelle Muscat)、同国官房長官コンラッド・ミッツィ英語版首席補佐官キース・シェンブリ英語版汚職疑惑を追及してきた[1][2]。また、2014年から国外の富裕層向けにマルタの市民権および旅券を高額で販売し始めた[6][7]問題とパナマ文書との関連をとりあげていた[8]アメリカ合衆国の政治ニュースサイトポリティコは、ガリチアを「2017年最もヨーロッパに衝撃を与えた28人」の1人に挙げた[3]。他方、与野党の政治家は彼女を名誉棄損で提訴していた[3]

2017年9月初め、自身のブログに「命を脅かされている」と記し[3]、10月には脅迫を受けていると警察に相談し、10月16日、自宅近くで自動車に仕掛けられた爆弾の爆発により死亡した[1]

ムスカット首相は、「この野蛮な行為は決して正当化できない」と述べ、関与した者に裁きを受けさせるためあらゆる手を尽くすよう治安当局に指示した[1]内部告発サイトウィキリークス創始者のジュリアン・アサンジは、ガリジア殺害に強い憤りを表明、犯人特定に役立つ情報の提供者に2万ユーロ(約264万円)を支払うとツイッターに記した[8]

その後、ムスカットの側近のキース・シェンブリ英語版首相首席補佐官が殺害事件に絡み2019年11月26日に逮捕され、またコンラッド・ミッツィ英語版観光相とクリスチャン・カルドナが英語版経済・投資・中小企業相が警察より聴取されるなど政権を揺るがす事態となり[9]、ムスカットに対する首相辞任の圧力が強まった。12月1日、ムスカットは即時の辞任は否定したものの、翌2020年1月12日の労働党党首選挙にて新党首が選出され次第、首相を辞任すると表明した[10]

脚注[編集]

  1. ^ a b c d e f マルタの著名ジャーナリスト爆殺 首相周辺の汚職疑惑を追及”. AFP (2017年10月17日). 2017年10月17日閲覧。
  2. ^ a b c フェイスブックが「パナマ文書」を削除する”. ハフポスト (2017年5月22日). 2017年10月18日閲覧。
  3. ^ a b c d ブログに「命脅かされている」 パナマ文書報道記者殺害”. 朝日新聞 (2017年10月17日). 2017年10月18日閲覧。
  4. ^ 報道の自由賭し 動くプロジェクト”. NHK (2018年4月25日). 2018年4月28日閲覧。
  5. ^ 世界に衝撃を与えた「パナマ文書」わかりやすく解説すると…”. ハフポスト (2017年10月18日). 2018年4月26日閲覧。
  6. ^ パスポートに付けられた値段 地中海の島国マルタで”. BBCニュース (2017年8月25日). 2017年10月18日閲覧。
  7. ^ 地中海の島国「マルタ」の国籍が誰でも買える「8700万円」”. マイナビウーマン (2013年11月19日). 2017年10月18日閲覧。
  8. ^ a b アサンジ氏:マルタのジャーナリスト殺害犯人の情報提供を2万ユーロの報奨金で募る”. スプートニクニュース (2017年10月17日). 2017年10月17日閲覧。
  9. ^ “首相側近ら辞任「パナマ文書」記者爆殺で聴取か マルタ”. 時事ドットコム. 時事通信社. (2019年11月25日). https://web.archive.org/web/20191223033824/https://www.jiji.com/jc/article?k=2019112700389&g=int 2019年12月2日閲覧。 
  10. ^ “マルタ首相、1月に辞任 側近、記者爆殺首謀か”. 時事ドットコム. 時事通信社. (2019年12月1日). https://web.archive.org/web/20191225143403/https://www.jiji.com/jc/article?k=2019120200165&g=int 2019年12月2日閲覧。