ノート:ヒポクラテスの誓い

ページのコンテンツが他言語でサポートされていません。

ヒポクラテス集典は書名検索で検索されない。

日本語で比較的手軽に参照できる図書は、 エンタプライズ株式会社刊 新訂版 ヒポクラテス全集(Corpus Hippocraticum)大槻真一郎 編著 1997年(第一刷を参考にしてコメント) がある。各巻1000ページ前後の三巻本。 この全集は、エミル・リトレがギリシア語からフランス語に対訳した10巻本を元に翻訳している。リトレは当時のパリで参照できるギリシア語写本を集大成した。ただし、世界に散らばった写本全部ではない。これら著作全体を指してCorpus Hippocraticumということがある。(同書、第一巻、序)


膀胱結石のコメント。大槻版ヒポクラテス全集には膀胱の語はない。脚注によると、結石には専業の業者が存在したとある。当時、手術をせず血を流さないと主張したのは、ピュタゴラス派医師群となっている。(同書、第一巻、579頁~) 全集の『誓い』以外の内容に、外科的処置の記述は少なくない。怪我や疾患の診断、重症度判定、手術の適応、手術時期、手技の安全対策、合併症などが記載されている。第一巻、『頭部の損傷について』283頁~ほか その内容から、手術を行ったのは明らかで、結石に関しては、現代では推し量れない理由による、分業と考えるのが妥当。 また、全集では「砕石術」の用語はなく、「切開手術」となっている。(同書、第一巻、『誓い』)

 ヒポクラテス時代のギリシア語の原文はほとんどない。歴史的考察で、紀元前五世紀から4世紀にかけて書き続けられ、原型は紀元前300年頃に完成したと推定されている。このときに『誓い』はなく、成立は紀元一~二世紀と推定されている。  ヒポクラテスの著作として残っているのは写本(古文書)。年代が確実なものに限ると、ギリシア語版は紀元十世紀以降のもの。ラテン語訳は紀元二世紀。二世紀には、ギリシア語版の全集がすでに二系統あった。  写本は印刷と違い、原文に忠実である保障は古いギリシア語版にもない。ホメロスの著作などと違い、技術教科書なので無断の改定を含む異文のバリエーションが多い。原点は約70巻とされるが、本来何巻なのか確定していない。未解明な部分が多く、暗号解読のような研究分野。(同書、第一巻、序)

su_su 07/04/19 23:40