ミン・ヒジン

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ミン・ヒジン

민희진
生誕 민희진(ミン・ヒジン)
(1979-12-16) 1979年12月16日(44歳)
大韓民国の旗 大韓民国
国籍 大韓民国の旗 大韓民国
出身校 ソウル女子大学校 視覚デザイン学科 卒業
職業 アートディレクターCBOCEO
活動期間 2002年 -
代表作 f(x) - Pink Tape
活動拠点 大韓民国の旗 大韓民国
受賞 Mnet Asian Music Awards - ベストビジュアル & アートディレクターオブザイヤー、ブレイクアウトプロデューサー賞
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ミン・ヒジン: 민희진1979年12月16日 - )は、韓国アートディレクターHYBEのCBO及びADORCEO2002年SMエンタテインメントのアートディレクターを担当してから、数々のK-POPアーティストのヒット作品のコンセプトを生み出してきた。

略歴[編集]

1979年 - 2001年: 生い立ち[編集]

1979年12月16日、韓国に生まれる。祖父の影響もあり、子供の頃から絵に関心がありデザインに身近な環境で育つ。学生時代にはオーディオディレクターに関心を持った事で放送部の活動をするも、写真への愛情を捨てられず最終的に大学で視覚デザインを専攻[1]

大学3年の休学中に広告代理店でインターンを経験。その後進路に悩み、卒業する頃にSMエンタテインメントの公開採用の広告を見つけ2002年に応募[1][2]。SMエンタテインメントに応募したのは、ヒジン自身アルバムのカバーを製作する作業に関心があり、レーベルが多くなかった時代に一番認知度が高かった為である[3]ジャズをベースにしたヨーロッパをはじめとする第三世界の音楽を好みのジャンルとし、大衆的に親しまれる音楽には関心がなかったものの、自身の好奇心が刺激されて面白そうと思ったのもきっかけである[2]

2002年 - 2018年: SMエンタテインメントでの活躍[編集]

2002年に入社してから2年後の2004年の12月にリリースされた東方神起のクリスマスアルバム『The Christmas Gift from 東方神起』でコンセプトや撮影、セットやデザインを構築し、初めて組織的に動いたのをきっかけに制作の幅が広がる様になる[2]。2009年にはSHINeeの『ROMEO』でアルバム名や写真家など、自分で企画したことを完全に実現するようになった[2]

その後も少女時代の『Gee』でのカラージーンズやEXOの制服コンセプト、f(x)の『Pink Tape』のアートフィルムなどでアートディレクションへの革新的で実験的なアプローチで注目を集めた[4][5]

2017年、SMのアートディレクト総括として選ばれたものの[6]燃え尽き症候群により一年で辞職することとなった[5]

2019年 - 現在: ビジュアルディレクターからの退任、CBO・CEOとして[編集]

2019年7月1日、BigHitエンターテインメントのCBOに任命[7]。9月からはパン・シヒョクとタッグを組んで「PLUS GLOBAL AUDITION」を開催[8]。2021年デビュー予定だったが、コロナ禍でデビュー延期。2021年11月12日、HYBE傘下の新規レーベル「ADOR」を設立させ[9]、翌年7月22日にNewJeansをデビューさせた。

2022年11月30日、Mnet Asian Music Awardsにてブレイクアウトプロデューサー賞を受賞した[10]

作品性[編集]

愛は存在するが、永遠ではない。恋人との出会いの最初の瞬間に、愛と肯定する。心理的な空気、空虚、空間、この瞬間が永遠に続くということ。私は欲望に囚われている。陰に隠れて、全ての答えを答えられずにいる。

—f(x)(Pink Tapeのアートフィルムにある序盤の台詞[11][注 1]より)

韓国の大手芸能事務所であるSMエンタテインメントに所属している様々なアーティストのアルバムコンセプトを担当・ブランディングを行い、その事から各メディアから「コンセプトの職人」などと表現される事がある[12]

少女時代の『Gee』のカラージーンズや『Genie』の統一された白い制服スタイル、EXOの『Growl』の学校制服などの衣装のスタイリングから、NewJeansの『New Jeans』の3色展開の丸型バッグやf(x)の『Pink Tape』のピンク色のVHSテープなどといったアルバム制作まで、KPOPアーティストの視覚的プロモーションを独創的なアイデアで統括し、過去にプロデュースした作品は現在でもファンの間で語り継がれている[13]。特にf(x)の『Pink Tape』はMelon選定の韓国大衆音楽名盤100へのノミネートや、レットドットデザインアワードを受賞するといった高い評価を受けている[14]

自身の作品について「ユ・クイズ ON THE BLOCK」のインタビューでは「『この人たちがどのようなグループとして見られるのが、長期的に見て良いのか』を工夫した」と語っており、「目指す場所を具体的にイメージする作業が、コンセプトの構築に必要であることを知っていた。これまでとは異なるプロセスが必要だと思った。(中略)これまでのグループと対比する差別点は何か考えた。そういうものを最大限に引き出すために、ディテールにものすごく気を使った」と続けて語った[15][16]

制作[編集]

SMエンタテインメント[編集]

少女時代[編集]

  • また巡り逢えた世界(2007年)
  • Gee(2009年)
  • Genie(2009年)
  • The Boys(2011年)

SHINee[編集]

  • Replay(2008年)
  • Romeo(2009年)
  • ODD(2015年)
  • Married to the music(2015年)

f(x)[編集]

  • NU ABO(2010年)
  • Pinoquio(2011年)
  • Hot Summer(2011年)
  • Electric Shock(2012年)
  • Pink Tape(2013年)
  • Red Light(2014年)
  • 4 Walls(2015年)

EXO[編集]

  • Growl(2013年)
  • EXODUS(2015年)
  • LOVE ME RIGHT(2015年)
  • EX'ACT(2016年)
  • THE WAR(2017年)
  • DON'T MESS UP MY TEMPO(2018年)

Red Velvet[編集]

  • Happiness(2014年)
  • Ice Cream Cake(2015年)
  • The Red(2015年)
  • The Velvet(2016年)
  • Russian Roulette(2016年)
  • Rookie(2017年)
  • The Red Summer(2017年)
  • Perfect Velvet(2017年)
  • The Perfect Red Velvet(2018年)
  • Summer Magic(2018年)
  • RBB(2018年)

NCT[編集]

  • The 7th Sence(2016年)- NCT U
  • NCT #127(2016年)- NCT 127
  • Chewing Gum(2016年)- NCT DREAM
  • NCT #127 LIMITLESS(2017年)- NCT 127
  • THE FIRST(2017年)- NCT DREAM
  • NCT #127 CHERRY BOMB(2017年)- NCT 127
  • We Young(2017年)- NCT DREAM

HYBE[編集]

ADOR[編集]

NewJeans[編集]
  • New Jeans(2022年)
  • Ditto(2022年)
  • OMG(2023年)
  • Zero(2023年)
  • Get Up(2023年)

BIGHIT MUSIC[編集]

V(防弾少年団)[編集]
  •  Layover(2023年)

評価[編集]

大衆音楽評論家であるチョ・ウンジェは「ミン代表はポートフォリオにあまりにも顕著な作品が多い」と評価し、「ミン・ヒジン代表は自身の個性が明確でありながら、アーティストの個性をよく生かすほうだ。コンセプトの側面では、感覚的な小物の使用が記憶に残る」と続けて評価した[13]

アメリカのポップカルチャーメディアである「Variety」の世界のエンターテインメント業界に影響を及ぼした女性に選ばれた[17]

2023年4月にはアメリカのビルボードがアメリカ以外の地域で世界の音楽産業を先導するリーダーを選定する「The 2023 Billboard International Power Players」に選ばれた[18]

受賞[編集]

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 原文: Love exists but with an absence of eternity. At the first moment of a lover’s encounter, there’s an affirmation of love. Psychologically, Lunacy, Emptiness, Panic, Delusion that the moment will last forever. I’m seized by desire. I hide behind my back and postpone all answers.

出典[編集]

  1. ^ a b SM 민희진 인터뷰 by 큐비즘(cuvismmag.com)” (朝鮮語). m.cafe.daum.net. 2022年8月21日閲覧。
  2. ^ a b c d 【K-POP制作所】SMミン・ヒジン室長「SMは怖い組織ではなく、純粋で一生懸命な組織」”. Kstyle. 2022年8月23日閲覧。
  3. ^ 박수윤 (2018年7月11日). “[음악계 우먼파워 ③SM엔터테인먼트 민희진 이사]” (朝鮮語). 연합뉴스. 2022年8月23日閲覧。
  4. ^ 민희진에 대해 얼마나 아시나요? - BeAttitude”. BeAttitude - Creative + Life Magazine for Creators (2022年3月24日). 2022年8月23日閲覧。
  5. ^ a b “HYBE新レーベル代表”ミン・ヒジン、SMの統括取締役に就任も…1年で辞職した理由とは「全部やめたくなった」”. Kstyle. 2022年8月23日閲覧。
  6. ^ SMエンタテインメントが人事改編を発表”. Kstyle. 2022年8月23日閲覧。
  7. ^ 防弾少年団に続く「防弾少女団」が生まれるかも!? BTS所属会社に元SMの敏腕企画者が合流|スポーツソウル日本版”. スポーツソウル. 2022年8月23日閲覧。
  8. ^ BTS所属のBig Hit、Source Musicとガールズグループデビュー目指す 日本でもオーディション開催 - モデルプレス”. モデルプレス - ライフスタイル・ファッションエンタメニュース. 2022年8月23日閲覧。
  9. ^ デバク (2021年11月12日). “HYBE新レーベル「ADOR」設立、ミンヒジン・グループ2022年デビューへ”. デバク. 2022年8月23日閲覧。
  10. ^ a b "대표님 사랑해요" 민희진 대표, '브레이크아웃 프로듀서' 수상…뉴진스 애교는 덤('2022 MAMA AWARDS') | 방송 : 네이트 연예” (朝鮮語). 모바일 네이트 뉴스. 2022年11月30日閲覧。
  11. ^ (日本語) f(x) 에프엑스 "Pink Tape" The 2nd Album Art Film, https://www.youtube.com/watch?v=r4u3BzM0rqo 2022年10月12日閲覧。 
  12. ^ 'K팝 콘셉트 장인' 민희진 걸그룹 뉴진스, 멤버명 최초 공개..'신선한 시도' [공식]”. 언론사 뷰. 2022年10月1日閲覧。
  13. ^ a b 少女時代やRed Velvetを手掛け、SMからHYBEへと移籍した女性CBOによる新ガールズグループに期待|スポーツソウル日本版”. スポーツソウル. 2022年10月12日閲覧。
  14. ^ SM, 獨 레드닷 디자인 어워드서 8개 본상 수상” (朝鮮語). inews24. 2022年10月12日閲覧。
  15. ^ “HYBE新レーベル代表”ミン・ヒジン、SMの統括取締役に就任も…1年で辞職した理由とは「全部やめたくなった」”. Kstyle. 2022年10月12日閲覧。
  16. ^ (日本語) [#유퀴즈온더블럭 케이팝에 신드롬을 일으킨 전설의 아트디렉터✨ 민희진 자기님의 한 마디 한 마디에서 느껴지는 일에 대한 남다른 열정❤️‍🔥 | #Diggle #갓구운클립], https://www.youtube.com/watch?v=Lt-oFzP88zg 2022年10月12日閲覧。 
  17. ^ 少女時代などを手がけてきたHYBEミン・ヒジン、「世界のエンタメ界で影響力のある女性」に選定|スポーツソウル日本版”. スポーツソウル. 2022年8月23日閲覧。
  18. ^ HYBEパク・ジウォンCEO、ADORミン・ヒジン代表ら、米ビルボード「インターナショナル・パワープレイヤーズ」に選定”. Kstyle (2023年4月27日). 2023年11月1日閲覧。
  19. ^ Newsis (2016年12月28日). “방시혁·민희진, 올해 MAMA서 '베스트 제작자·아트디렉터'” (朝鮮語). mobile.newsis.com. 2022年8月23日閲覧。
  20. ^ ADORミン・ヒジン代表、今年の「ソウル市文化賞」で大衆芸術部門を受賞!”. Kstyle (2023年10月20日). 2023年11月1日閲覧。
  21. ^ SEVENTEEN、9年ぶりにゴールデンディスクで初の大賞受賞…音源大賞はNewJeans(2)”. JIJI.COM (2024年1月7日). 2024年2月19日閲覧。

外部リンク[編集]