李栄 (言語学者)

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李 栄
人物情報
生誕 (1920-02-04) 1920年2月4日
中華人民共和国の旗 中国浙江省温嶺市
死没 2002年12月31日(2002-12-31)(82歳)
出身校 西南連合大学
学問
研究分野 言語学
研究機関 北京大学山東大学中国社会科学院語言研究所
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李栄
各種表記
繁体字 李榮
簡体字 李荣
拼音 Lǐ Róng
和名表記: り えい
発音転記: リー・ロン
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李栄(り えい、1920年2月4日 - 2002年12月31日)は、中国言語学者

経歴[編集]

1920年、浙江省温嶺に生まれた。日中戦争中の1939年に昆明西南連合大学に入学した。その際の同級生に朱徳熙がいた[1]。戦後の1946年に学位論文『切韻』を北京大学に提出して修士号を取得した。

同1946年に北京大学の助教に就任。1949年に山東大学の副教授に就いた。国共内戦を経て中華人民共和国が成立すると、1950年に中国社会科学院語言研究所に入り、主に方言研究を行った。1979年に雑誌『方言』を創刊し、その編集長をつとめた。1989年には全国漢語方言学会の初代会長に就任した。『中国語言地図集(漢語方言部分)』(香港朗文出版1987,1989)および『現代漢語方言大詞典』(江蘇教育出版社1993-1997,42冊)の編集長を務めた。

研究内容・業績[編集]

中国語音韻史の研究で知られ、また中国語の方言研究の指導的な立場にあった。

著作[編集]

  • 『切韻音系』(中国科学院1952、のち科学出版社1956)
戦後に発見された完本王韻をもとに研究を行い、俟母の存在など、いくつかの新しい問題を指摘した。
  • 『音韻存稿』(商務印書館1982)
音韻史に関する論文集で、規則的な音変化以外の多くの現象を指摘した「語音演変規律的例外」などの論文を含む。
  • 『語文論衡』(商務印書館1985)
方言・文字学等に関する論文集。
  • 『方言存稿』(商務印書館2012)
没後に出版された。晩年の文章を集めたもの。

共著[編集]

丁声樹と共著の書が多くある。

  • 『方言調査字表』中国科学院語言研究所1956
  • 『漢語方言調査手冊』科学出版社1957
  • 『漢語音韻講義』1957年油印(のち1984年に上海教育出版社から出版。本文は丁声樹・表は李栄)
  • 『古今字音対象手冊』科学出版社1958
  • 『昌黎方言志』北京科学出版社1960
  • 『現代漢語語法講話』商務印書館1961(8人の共著)

翻訳[編集]

李栄は趙元任の『Mandarin Primer』を中国語に抄訳し、『北京口語語法』(開明書店1952)として出版している。

脚注[編集]

  1. ^ 李栄「朱徳熙」(『方言存稿』所収)

外部リンク[編集]