船方一

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

船方 一(ふなかた はじめ、1912年5月30日 - 1957年8月17日)は、日本詩人プロレタリア文学の立場から詩作をおこなった。

本名は足立芳一。横浜市に育つ。横浜港で働きながら、演劇文学に関心をもつ。1932年3月、日本プロレタリア作家同盟神奈川支部の創設に参加し、小林多喜二の虐殺に際しての「同志小林多喜二に」など、支部の雑誌にを発表する。その後、治安維持法違反の容疑で検挙され、懲役2年・執行猶予4年の判決を受ける。

出獄後、1935年ころから『詩精神』誌にいくつかの詩を発表し、「ふるさとえの歌」(船方は助詞の「は」「へ」をしばしば「わ」「え」と書いている)「まだ見ぬ同志におくる歌」(今野大力に寄せた詩)などが知られている。

戦後は横浜市の職員になりながら文学運動に加わり、詩集『わが愛わたたかいの中から』を1949年に刊行する。その後、レッドパージで職を追われ、日雇いの仕事をしながら詩作をおこない、あわせて全日自労(日雇い労働者でつくる労働組合)の組合活動や日本共産党の活動にも加わった。1957年、組合の野球大会を企画する会議に出席した帰路で交通事故にあい、逝去した。なお、妻の義兄は国会議員をつとめた春日正一である。

没後、1958年1979年2020年と3度にわたり詩集が刊行されている。

脚注[編集]

参考文献[編集]

  • 『船方一の世界』(横浜詩人会議編、2020年)所収の年譜。