DORIS (衛星測位システム)
測地学 | ||||||||||||||||||||||||
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基準(歴史) | ||||||||||||||||||||||||
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DORIS(どりす、英語: Doppler Orbitography and Radiopositioning Integrated by Satellite、フランス語: Determination d’Orbite et Radiopositionnement Intégré par Satellite、日本語: ドップラーによる衛星軌道決定と電波灯台位置決定法[1])は、人工衛星の軌道(TOPEX/ポセイドン等)の決定および測位に利用するフランスの衛星システムで、英語とフランス語の頭字語である[2]。
原理[編集]
ビーコンと呼ばれる地上局から信号を送信して軌道上の人工衛星でその信号を受信する。人工衛星の移動によるドップラー効果に基づく信号の周波数の偏移から軌道と位置を割り出す。測量原理自体にはトランシット衛星による測量と本質的な違いはないが分解能や電離層屈折補正の効果が向上している[3]。
組織[編集]
DORISはフランスのシステムでフランス国立宇宙研究センターに管理される。トゥールーズでマスタービーコンの管理と衛星との通信を行う[2]。
地上局網[編集]
約60局が地球上の各地に配置され軌道の観測を網羅している。地上局は信号を送信するだけでいかなる情報も受信しないので増設する場合は電源さえあれば良い[4]。そのためエベレストのベースキャンプや南極の昭和基地のような場所にもビーコンを設置することができている[5][6]。
ビーコンは地球上にまんべんなく地理的隔たりが生じないように配置している[2]。
人工衛星[編集]
最も良く知られるDORISを搭載した人工衛星はTOPEX/ポセイドンとジェイソン1である。それらは海洋の表面の観測と同様に海流や波の高さの観測にも使用される。DORISによって約2cmの軌道精度がもたらされる[2]。
測位[編集]
DORISの観測によって軌道が認識されることにより逆算することで地上局の位置を算出することにも使用される。精度はGPSよりも低いが現在でも国際地球基準座標系 (ITRF)に貢献する[3]。
脚注[編集]
- ^ 情報・システム研究機構「Ⅶ. 国際交流 (1)学際交流協定に基づく交流状況」『情報・システム研究機構 データブック』(PDF) 2019-2020巻、情報・システム研究機構、東京〈機構データブック〉、2021年、39頁 。2024年5月12日閲覧。
- ^ a b c d “DORISその1:昭和基地へのDORISビーコンの設置” (html). 国立極地研究所. 南極地球物理学ノート. 国立極地研究所 (2012年8月28日). 2024年5月12日閲覧。
- ^ a b “DORISその3:DORISによる成果” (html). 国立極地研究所. 南極地球物理学ノート. 国立極地研究所 (2012年10月18日). 2024年5月12日閲覧。
- ^ CNES; CLS (2022年9月13日). “Station management” (html). Home - International DORIS Service. Tracking Network. International DORIS Service. 2024年5月12日閲覧。
- ^ CNES; CLS (2022年12月14日). “stations (SITE LOGS)” (html). Home - International DORIS Service. Tracking Network. International DORIS Service. 2024年5月12日閲覧。
- ^ “DORISその2:DORIS ビーコンの取り付け測量” (html). 国立極地研究所. 南極地球物理学ノート. 国立極地研究所 (2012年10月18日). 2024年5月12日閲覧。