Tu-143 (航空機)
Tu-143
ツポレフ Tu-143リース(ロシア語: Рейс)とはソビエト連邦の偵察用無人航空機である。1970年代後半から1980年代にソ連陸軍、ワルシャワ条約機構下の各国、中東の同盟国で就役した。本機には偵察ポッドが搭載されており、内蔵された画像記録はそこから飛行終了後に回収される[1]。
経歴[編集]
開発[編集]
Tu-143は1976年に就役し、Tu-141に強く似ていたが、おおよそのスケールは小型化されていた。これは60-70kmと短距離の戦術的な偵察システムであり、低空飛行能力を持つ。Tu-143はJATOによるブーストを用いて台車から発進し、回収にはパラシュートを用いる。また本機は推力5.8kNのTR3-117ターボジェットエンジンで駆動する。最初の型ではフィルムカメラを搭載したが、のちのバージョンではTVもしくは放射線検出用の装置を積み、データリンクによって地上基地へデータを送信する。1970年代から1980年代に950機が生産された。
シリアは1982年のレバノン戦争中に、Tu-143をイスラエルとレバノン上空の偵察任務に使用した。同様にアフガニスタン紛争 (1978年-1989年)において、アフガニスタン内のソビエト連邦軍が本機を投入している。
M-143派生型[編集]
M-143は標的用ドローン型である。1980年代中期に就役した。
Tu-243派生型[編集]
1990年代後期、Tu-143は似ているものの改善の施された「Tu-243リース-D」に代替された。この機体は燃料容量を増加し、航続距離をおよそ2倍に伸ばすために胴体を25cm延長している。本機は推力6.28kNに出力を上げたTR3-117エンジンを積み、低空での誘導性を改善している[2]。
Tu-300派生型[編集]
1995年からツポレフはさらに洗練をくわえた「Tu-300 Korshun」の売り込みを始めた。これは後継機に似ているが、機首部にアンテナドームを設け、近代的なセンサー群と電子装置システムのための機首フェアリングをつけている。本機はセンターライン上のセンサーポッドもしくは弾薬用のパイロンを特徴とする。1990年代後半、経済上の問題によって開発は停止を余儀なくされたが、2007年には作業が再開されている。
運用国[編集]
現運用国[編集]
旧運用国[編集]
- ブルガリア:退役
- チェコ:VR-3 Rejs、1995年退役
- チェコスロバキア:VR-3が1985年就役、チェコ共和国とスロバキアに引き渡し
- イラク
- ルーマニア:任務から退役
- スロバキア:VR-3 Rejs、退役
- ソビエト連邦:ソ連の消滅時にロシアおよびウクライナに引き渡し。
主要諸元[編集]
ツポレフTU-143リース
- 翼幅:2.24m
- 全長:8.06m
- 全高:1.54m
- 発進時重量:1,230kg
- 最大速度:950km/h
- 実用上昇限度:5,000m
- 航続距離:200km
参考文献[編集]
This article contains material that originally came from the web article Unmanned Aerial Vehicles by Greg Goebel, which exists in the Public Domain.
- ^ The Encyclopedia of the Arab-Israeli Conflict: A Political, Social, and Military History: A Political, Social, and Military History, ABC-CLIO, 12 May 2008, by Spencer C. Tucker, Priscilla Mary Roberts, page 1055
- ^ https://web.archive.org/web/20091024234355/http://www.arms-expo.ru/site.xp/049055055056124052052048048.html
- ^ “Воздушные мишени – вторая жизнь зенитных ракет — ОРУЖИЕ РОССИИ, Информационное агентство”. Arms-expo.ru. 2011年10月25日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年9月3日閲覧。
- ^ The Military Balance 2016, p. 190.
外部リンク[編集]
- Czech Tu-143/VR-3 Rejs in museum with transport vehicle and launcher