セルゲイ・アクショーノフ

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セルゲイ・アクショーノフ
Сергей Валерьевич Аксёнов
クリミア共和国首長
就任
2014年10月9日
代行：2014年4月14日 – 10月9日
大統領ウラジーミル・プーチン
首相自身（2014–2019）
ユーリ・ゴツァニュク（ロシア語版、英語版）（2019–）
クリミア共和国首相
任期
2014年2月27日 – 2019年9月20日
前任者アナトリー・モギリョフ（ウクライナ語版、英語版）
後任者ユーリ・ゴツァニュク
クリミア共和国国家議会議員
任期
2014年3月17日 – 2014年5月21日
クリミア自治共和国最高会議議員
任期
2010年10月31日 – 2014年3月17日
個人情報
生誕 (1972-11-26) 1972年11月26日（51歳）
ソビエト連邦の旗 ソビエト連邦
モルダヴィア・ソビエト社会主義共和国
バルツィ
政党ロシアの統一（2009–2014）
統一ロシア（2014–）
子供2

セルゲイ・ヴァレリエヴィチ・アクショーノフ（ロシア語: Сергей Валерьевич Аксёнов、ウクライナ語: Сергій Валерійович Аксьонов、1972年11月26日 – ）は、クリミア共和国の政治家である。ウクライナ内の自治共和国であったクリミア自治共和国の最高会議（ウクライナ語版、英語版）議員であったが、2014年のロシアによるクリミア併合ののち、クリミア共和国首長代行に任命され、2014年10月9日よりクリミア共和国首長を務めている[1]。同年2月27日から2019年9月まで首相も兼任した。なお、クリミア共和国は国際的にはロシアを含む限られた国家にしか承認されていない[2]。

当初から親ロシア派政治家として活動し、クリミア併合にも積極的に関与したアクショーノフは、特にウクライナメディアからしばしば「Гоблин（ゴブリン）」の名で言及されている[3][4][5]。

経歴[編集]

1972年11月26日、モルダヴィア・ソビエト社会主義共和国のバルツィに生まれる[6][7]。

1989年、シンフェロポリの高等軍政大学に入学。1993年に修了試験に合格したが、ウクライナへの宣誓とウクライナ軍への従軍を拒否したため卒業証書を受け取ることはなかった[8]。

その後、クリミア経済大学（現・クリミア連邦大学）でビジネス経済学学士号、金融・信用取引の修士号を取得した[7]。

1993年から1998年まで、食品貿易関係の企業「エラダ（Эллада）」に勤務[7]。1998年10月から2001年3月まで「アステリクス（Астерикс）」社、2001年4月から2014年2月まで「エスカーダ（Эскада）」社でビジネスに関与した[7]。

政治活動[編集]

2003年、ロシア連邦大統領より市民権を与えられた[9]。

2008年よりクリミアで親ロシアの市民活動を開始した。2009年12月、自身の関与した複数の市民団体をまとめ、政治運動「ロシアの統一（ロシア語版、英語版）（Русское Единство）」を立ち上げた。翌2010年、同名の政治団体の代表となった[7]。

2010年、クリミア自治共和国最高会議（ウクライナ語版、英語版）選挙において「ロシアの統一」は4%の得票を得て3議席を獲得した[10][11]。これによりアクショーノフは最高会議議員となった。

2012年、第7回ヴェルホーヴナ・ラーダ選挙に立候補したが選挙区で9％の得票にとどまり落選した[7]。

クリミア首長へ[編集]

詳細は「尊厳の革命」および「2014年クリミア危機」を参照

2014年2月、尊厳の革命により親ロシア派のヴィクトル・ヤヌコーヴィチ政権が崩壊するに至った。2月27日、武装集団がクリミア議会と政府本部を占拠し[12]、当時のクリミア首相アナトリー・モギリョフ（ウクライナ語版、英語版）は解任され[13]、アクショーノフが新たな首相に選出された[7][11][14]。これに対し、大統領代行オレクサンドル・トゥルチノフはアクショーノフを首相として認めない旨の大統領令を公布した[15][16]。キーウの当局はアクショーノフに対する逮捕令状を発行した[17]。また欧州連合、アメリカ合衆国からは資産凍結を含む制裁が科された[18][19]。

クリミア共和国のロシア編入を定める条約の調印式。左からアクショーノフ、ウラジミール・コンスタンチノフ、ウラジーミル・プーチン、アレクセイ・チャリイ（2014年3月）

3月11日のクリミアの独立宣言[20]、3月16日のクリミアでの住民投票の結果[21]を踏まえ、3月18日付けでクリミア共和国はロシアへ編入された[7][22]。

4月11日にクリミア共和国憲法が制定され[23]、4月14日、ロシア大統領によりアクショーノフはクリミア共和国首長代行に任命された[7][24]。

2014年10月9日、クリミア自治共和国最高会議に代わって設置されたクリミア共和国国家議会（ロシア語版、英語版）により首長に選出された[22]。

2019年9月20日、クリミア共和国国家議会により首長に再選出された[25]。首相職は継続せず、ユーリ・ゴツァニュク（ロシア語版、英語版）が後継となった[26]。

犯罪組織との関わり[編集]

複数のメディアが伝えるところでは、アクショーノフは1990年代半ばに犯罪組織「セーラム」に関与しており、「ゴブリン」のニックネームで呼ばれていたとのことである[27][28][29][30]。アクショーノフはこの疑惑を否定している[28][29]。

政策[編集]

アクショーノフは2014年3月、クリミアがロシアに編入された場合にはウクライナ語が公用語から除外されると言明していた[31]が、4月に制定されたクリミア共和国憲法（ロシア語版）ではウクライナ語を公用語の一つとすることが明記されている[32]。

2022年のロシアによるウクライナ侵攻に関して、3月、アクショーノフはクリミア内のウクライナ人資産の没収法案に署名し、2018年に設立されたウクライナ正教会の活動禁止にも言及した[33]。6月、アクショーノフは占領地で接収した穀物がセヴァストポリで流通していると述べた[34]。

クリミア・タタール人への対応[編集]

アクショーノフは、ロシアへの編入に反対するクリミア・タタール人に対して「クリミアのロシアへの編入に反対するすべての行動は法律で罰せられ、非常に厳しい立場に立たされることになる」と述べた[35]。

2014年9月、アクショーノフはクリミア・タタール民族会議（ロシア語版、英語版）について「そのようなものは存在しない」と述べた[36]。

2015年3月、クリミア・タタール語での放送を行っていた唯一のテレビチャンネル「ATR（ロシア語版、英語版）」が放送ライセンスの発行を拒否され操業停止を余儀なくされた[37][38]。親ウクライナのスタンスを取ってきたATRについて、アクショーノフは「クリミアがウクライナに復帰するという希望を持たせることで、緊張を煽り国民に不安感を与えている」「ATRの経営陣には、この半戦争の時代にそのようなチャンネルは我が共和国では運営できないと説明した」と述べた[39]。

出典[編集]

  1. ^ “Сергей Аксенов избран главой Республики Крым”. Российская газета. 2022年8月7日閲覧。
  2. ^ “RECOGNITION OF CRIMEA AS RUSSIAN | Association of Accredited Public Policy Advocates to the European Union”. Association of Accredited Public Policy Advocates to the European Union. 2022年8月7日閲覧。
  3. ^ “Сергій Аксьонов - Гоблін вирішив Суд (л)”. maidan.org.ua. 2022年8月7日閲覧。
  4. ^ “"Гоблін" Аксьонов подякував меру Пскова за дії десанту і спецназу під час анексії Криму” (ウクライナ語). ТСН (2018年12月10日). 2022年8月7日閲覧。
  5. ^ “"Гоблін" Аксьонов хоче забирати майно українців у Криму та в Росії — DSnews.ua” (ウクライナ語). www.dsnews.ua. Деловая столица (2022年3月30日). 2022年8月7日閲覧。
  6. ^ “ANNEX”. The National Archives. 2022年8月4日閲覧。
  7. ^ a b c d e f g h i “Аксенов, Сергей Валерьевич”. ТАСС. 2022年8月7日閲覧。
  8. ^ “В Крыму объяснили почему Аксенов не имеет диплома военного училища | Новости Крыма” (ロシア語). Crimean News. 2022年8月7日閲覧。
  9. ^ Федеральное право России (2016年5月11日). “Указ Президента РФ от 10 января 2003 г. N 18 "О приеме в гражданство Российской Федерации"”. 2016年5月11日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月7日閲覧。
  10. ^ Black, J. L.; Johns, Michael (2016-04-14) (英語). The Return of the Cold War: Ukraine, The West and Russia. Routledge. ISBN 978-1-317-40954-0. https://books.google.co.jp/books?id=DHP7CwAAQBAJ&pg=PA283 
  11. ^ a b Alissa de Carbonnel (2014年3月12日). “How the separatists delivered Crimea to Moscow”. Reuters. 2022年8月5日閲覧。
  12. ^ “親ロシアの武装集団、クリミアの議会を占拠 ウクライナ”. AFP. 2022年8月7日閲覧。
  13. ^ Marie-Louise Gumuchian,Laura Smith-Spark, Ingrid Formanek. “Gunmen seize parliament in Ukraine's Crimea, raise Russian flag”. CNN. 2022年8月7日閲覧。
  14. ^ “Crimea sets date for autonomy vote amid gunmen, anti-Kiev protests”. Christian Science Monitor. (2014年2月27日). ISSN 0882-7729. https://www.csmonitor.com/World/Europe/2014/0227/Crimea-sets-date-for-autonomy-vote-amid-gunmen-anti-Kiev-protests 2022年8月7日閲覧。 
  15. ^ Gazeta.ua (2014年3月1日). “Турчинов издал указ о незаконности назначения Аксенова премьером Крыма” (ロシア語). Gazeta.ua. 2022年8月7日閲覧。
  16. ^ “Новим прем’єром Криму буде лідер “Русского единства”” (ウクライナ語). Українська правда. 2022年8月7日閲覧。
  17. ^ “Суд дав добро на арешт “маріонеток Путіна” в Криму” (ウクライナ語). Українська правда. 2022年8月7日閲覧。
  18. ^ “EU sanctions list includes Russian commanders, Crimea PM” (英語). Reuters. (2014年3月17日). https://www.reuters.com/article/eu-russia-sanctions-idUSB5N0LP01720140317 2022年8月7日閲覧。 
  19. ^ “US and EU sanctions: the Russian and Ukrainian targets” (英語). The Guardian (2014年3月17日). 2022年8月7日閲覧。
  20. ^ Memmott, Mark (2014年3月11日). “Crimean Parliament Passes 'Declaration Of Independence'” (英語). NPR. https://www.npr.org/sections/thetwo-way/2014/03/11/288980634/crimean-parliament-passes-declaration-of-independence 2022年8月7日閲覧。 
  21. ^ “Crimea vote favors Russia; Ukraine PM vows crackdown on separatists”. Al Jazeera America. 2022年8月7日閲覧。
  22. ^ a b Europa Publications (2020-03-03) (英語). The Territories of the Russian Federation 2020. Routledge. ISBN 978-1-000-06869-6. https://books.google.co.jp/books?id=3xbUDwAAQBAJ&pg=PT165 
  23. ^ “Crimea's parliament adopts Kremlin-backed constitution” (英語). Reuters. (2014年4月11日). https://www.reuters.com/article/us-ukraine-crisis-crimea-constitution-idUSBREA3A11M20140411 2022年8月7日閲覧。 
  24. ^ “Sergei Aksyonov has been appointed Acting Head of Crimea” (英語). President of Russia. 2022年8月7日閲覧。
  25. ^ Shepeleva, Anastasia (2019年9月20日). “UNIAN: So-called 'prime minister' of Crimea Aksyonov re-elected for another 5 years - Sep. 20, 2019”. KyivPost. 2022年8月7日閲覧。
  26. ^ “Премьер-министром Крыма стал Юрий Гоцанюк” (ロシア語). Коммерсантъ (2019年10月1日). 2022年8月7日閲覧。
  27. ^ “The 'Goblin' king: Crimea leader's shady past”. THE JAPAN TIMES (2014年3月12日). 2014年3月12日時点のオリジナルよりアーカイブ。2022年8月7日閲覧。
  28. ^ a b Haddon, Katherine. “New Putin-Backed Prime Minister In Crimea Used To Be A Gangster Named 'Goblin'” (英語). Business Insider. 2022年8月7日閲覧。
  29. ^ a b “Meet ‘Goblin’ — Moscow’s man in Crimea” (英語). The Star (2014年3月4日). 2022年8月7日閲覧。
  30. ^ “Now That Russia Has Crimea, What Is Moscow's Plan?” (英語). NPR. https://www.npr.org/sections/parallels/2014/06/05/318870835/now-that-russia-has-crimea-what-is-moscows-plan 2022年8月7日閲覧。 
  31. ^ “Preparations for Joining Russia Already Underway – Aksyonov” (英語). Sputnik International (2014年3月10日). 2022年8月7日閲覧。
  32. ^ “Конституция Республики Крым”. Российская газета. 2022年8月7日閲覧。
  33. ^ “Russian-controlled Crimea orders law to ban Ukrainian Orthodox Church” (英語). The Jerusalem Post. 2022年8月7日閲覧。
  34. ^ “Aksonov admits Russians are selling stolen grain in Sevastopol” (英語). Ukrayinska Pravda. 2022年8月7日閲覧。
  35. ^ “Russian-installed PM & prosecutor threaten Crimean Tatars with deportation”. Kharkiv Human Rights Protection Group. 2022年8月7日閲覧。
  36. ^ “Crimean Leader Says Mejlis Does Not Exist” (英語). RadioFreeEurope/RadioLiberty. 2022年8月7日閲覧。
  37. ^ “Crimea's independent Tatar TV news channel silenced by 'red tape'” (英語). The Guardian (2015年4月1日). 2022年8月7日閲覧。
  38. ^ Goncharova, Olena (2015年3月31日). “Crimean Tatar TV channel faces shutdown on April 1 - Mar. 31, 2015”. KyivPost. 2022年8月7日閲覧。
  39. ^ “Crimean Tatar media 'silenced by Russia'” (英語). BBC News. (2015年4月1日). https://www.bbc.com/news/world-europe-32145218 2022年8月7日閲覧。 

外部リンク[編集]

公職
先代
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2014–2019 		次代
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