メタモルフォシス伝

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メタモルフォシス伝』(メタモルフォシスでん)は、山岸凉子による大学受験を題材とした漫画。「花とゆめ」(白泉社)において、1976年に連載された。単行本は〈花とゆめコミックス〉(新書判)で全2冊。

あらすじ[編集]

桜吹雪とともに現われた風変わりな転校生・蘇我要が、受験一色の名門校に通う生徒たちの心に様々な変革・転身(メタモルフォシス)をもたらす。

登場人物[編集]

蘇我要(そが かなめ)
受験校に現れた謎の転校生。文科系科目はさっぱりだが、理数系の能力(新田は「与えられた問題を解く能力」と判断している)は抜群。特に数学は、学年一の秀才・新田忍、そのライバル・大田原一をしのぐほど。スポーツも得意(バスケットボール・乗馬など)。学校祭において、忍・一を巻き込み、マージャン同好会を設立。
大西久美(おおにし くみ)
受験名門校の落ちこぼれ。内向的な性格。父親は開業医で、一人娘である事から、医学部進学を義務付けられているが、理数系は苦手。実は詩が好き(文学クラブ所属)で、将来は文科系に進みたいと思っているが、なかなか言い出せない。その性格がもたらす振る舞い(乙女チックいじけタイプ)故に、要に“クネ”と呼ばれはじめ、親友の紅子にも伝染・定着している。
新田忍(にった しのぶ)
名門(祖父は元大臣)の子息。大秀才。その秀才ぶりは、高校2年の夏休みに受験したO社模擬試験で、高校3年・浪人を差し置いて上位にランクされるほど。ただのガリ勉ではなく、スポーツも得意。一見恵まれた環境だが、実は父親は、祖父に反抗して家を出た売れない作家で、妻は計3人(忍の母は、祖父が選んだ良家の出身で、2番目の妻)おり、忍には、それぞれ母親の違う兄弟が1人ずつ、計2人いる(父親は現在、最初の妻<忍の腹違いの兄の生みの親>と同居中)など、表面には出さないが、複雑な家庭環境に頭をいためている(実母はすでに他界)。要・一の国立理類コースA組の同級生。T大理Iを目指しているが、実は内緒で随筆を書いている。物理クラブ所属。
大田原一(おおたわら はじめ)
T大理III(医学部)を目指すガリ勉。同級生・忍に並々ならぬライバル心を燃やしていたが(特に数学)、新たに現れた要にも同様の感情を抱く。医学部志望は、理学部を出て数学教師をしている父親の影響(曰く「理学部はツブシがきかないので医学部へ」)で、医学自体に興味があるわけではない。
小山金四郎(こやま きんしろう)
母・姉(四人)に囲まれて育ったせいか、ナヨナヨした性格。紅子からは「おやま(女形)」とからかわれている。バイオリンが好き(音楽クラブ所属)だが、あくまでも趣味と割り切り、特に目的もなく、漠然とT大(文科系)を目指している。
紅子(べにこ)
久美の親友。久美とは正反対で、他人にどう思われようとも自分のやりたいことを通す、勝気で積極的な性格。最大の難関に挑戦する目的で、T大を目指している。当初、要の事を胡散臭く思っていたが、英語の授業での要のネイティブイングリッシュを耳にしてから、興味を抱くようになる。